高カルシウム血症

病態
カルシウム(Ca)とは生体に豊富に存在するミネラルで骨の健康、神経伝達、筋収縮、血液凝固など多くの生理的機能に関与しており、その濃度が異常になると様々な症状を引き起こします。
高カルシウム血症とは血中のカルシウム濃度が基準値を超えて上昇した状態を指します。
(おおよそ犬では総Ca 9.0-11.5 mg/dl 猫では 8-10.5 mg/dlが基準値とされています)
症状
軽度の高カルシウム血症は症状を引き起こすことはありませんが、重度のカルシウム血症は様々な症状や臓器への悪影響を引き起こします。
- 神経筋系の異常:元気消失、筋肉の虚弱、振戦(ふるえ)
- 腎・泌尿器の異常:多飲多尿、尿路結石、腎障害
- 消化器症状:食欲不振、嘔吐、便秘
- その他:軟部組織の石灰化など
診断
高カルシウム血症の診断には、血液検査が最も一般的です。
血液検査によって、カルシウムの上昇が認められた場合には原因疾患を精査していく必要があります。
高カルシウム血症を引き起こす疾患とその精査には以下のようなものがあります。
- 上皮小体機能亢進症:ホルモン検査など
- 副腎皮質機能低下症:エコー検査、ACTH刺激試験、コルチゾール測定など
- 慢性腎臓病:血液検査、尿検査、画像検査など
- ビタミンD中毒:ビタミンDの接種歴
- 特発性(猫)
- 骨溶解病変:身体検査、レントゲン検査、CT検査など
- 腫瘍性:身体検査、レントゲン検査、エコー検査、CT検査、病理検査など
- 肉芽腫性病変:身体検査、レントゲン検査、エコー検査、CT検査、病理検査など
犬では腫瘍性、上皮小体機能亢進症、慢性腎臓病、副腎皮質機能低下症
猫では特発性、腫瘍性、慢性腎臓病
が多いとされています。
治療
高カルシウム血症が軽度の場合は原因疾患の治療を中心に行います。
ただし高カルシウム血症による明らかな症状が認められる時、血中カルシウム濃度が15mg/dを超えている時、カルシウム濃度が急激に上昇している時、脱水している時などは血中カルシウム濃度を低下させるため、動物の状態に応じた以下の治療が必要となります。
- 輸液療法
- 利尿剤の投与
- グルココルチコイド
- 薬物療法など
まとめ
高カルシウム血症は様々な原因で起こり、全身臓器への影響を引き起こします。
たとえ症状が軽度であっても原因疾患が重大である可能性があり、迅速な診断と適切な治療が必要になる場合があります。

