ALPの上昇

健康診断や体調不良での血液検査で「ALPが高いですね」と言われたことは
ありませんか?聞き慣れない数値に、不安になる方も多いと思います。
今回は、ALPとは何か・上昇する原因・必要な検査・治療について、解説します。
ALPとは?
ALP(アルカリフォスファターゼ)は、体の中のさまざまな組織に存在する酵素で、
特に肝臓(胆道系)、骨、腸、胎盤、腎臓に多く含まれていることが知られています。
血液検査で測定されるALPは、主に肝臓や胆道の状態を反映する指標として使われますが、
肝臓の機能や肝細胞の傷害の程度を表すものではありません。
ALPが上昇する原因
ALPの上昇は「肝臓の病気」と思われがちですが実際にはそれだけではありません。
① 胆汁の流れが悪くなる病気(胆汁うっ滞)
胆嚢炎、胆泥症、胆管閉塞などが代表的な疾患です。胆汁の流れが滞ると、ALPは上昇
しやすくなります。
②肝臓の病気
急性、慢性肝炎、肝臓の腫瘍、薬剤性肝障害などが原因として考えられます。ただし、
ALP単独では肝臓の細胞がどれだけ障害されたいるかの評価は不十分なので、
GPT(ALT)やGOT(AST)など他の項目と併せて判断します。
③ホルモン疾患
特に重要なのが、副腎皮質機能亢進症(クッシング病)です。犬では特に副腎から分泌
されるステロイドホルモンによってALPが上昇することが知られています。
④薬の影響
ステロイドや、抗てんかん薬(フェノバルビタールなど)の使用によって上昇することが
知られています。病気がなくても薬剤によって上昇することがあります。
⑤ 成長期(若齢犬)
骨由来のALPが上昇するため、子犬では数値が上昇していることがあります。
症状
ALPが高値であっても、無症状であることが多いことに注意が必要です!健康診断で、
元気だと思っていても偶然異常値であったことを知る、ということも少なくありません。
診断のための検査
ALPが高い=すぐに治療、ではなく「原因を特定すること」が最も重要です。主に以下の
検査を組み合わせて判断します。
血液検査
ALP単独では、病気を特定することが難しいためGPTやGOT、ビリルビンやコレステロール
などの数値を測定します。
画像検査(腹部エコー検査やレントゲン検査)
胆嚢の炎症や胆泥の貯留、肝臓のサイズや腫瘍の有無、副腎の大きさなどを直接画像検査を
用いて確認します。
内分泌検査(ホルモン検査)
クッシング病が疑われる際に、ACTH刺激試験や低容量デキサメタゾン抑制試験などといった
検査を実施します。
治療
治療は「ALPを下げる」ことではなく、原因となっている病気を治療することが基本です。
胆嚢、胆道系の疾患の場合、抗生剤や利胆剤を用いた内科治療や胆嚢摘出のような外科手術を
行うこともあります。ホルモン疾患(クッシング病)の場合、ホルモン剤を用いた治療を
行います。また、薬剤性の場合には投薬内容の見直しを行います。
まとめ
ALPは肝臓だけでなく、さまざまな要因で上昇する数値です。無症状でも数値が上昇し、
病気が隠れていることがあるので定期的な健康診断で数値を確認することが重要です。
また、すでに健康診断や体調不良での血液検査でALPの異常値が認められた場合には、
追加検査も含めて一度しっかり評価をしてあげましょう。
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