本日の一症例

元気がない、ぐったり/食欲がない/下痢・軟便/嘔吐・吐出

肝臓、胆嚢

細菌性胆嚢炎

動物
種類 ミニチュアダックスフンド
性別
年齢 17歳3ヶ月
地域 京都市北区
症状/病態 食欲不振、嘔吐
考えられる病気 胆嚢炎、胃腸炎、消化管腫瘍

食欲の低下、嘔吐を主訴に来院されました。

 

血液検査を行ったところ、肝酵素(GPT、GOT、ALP、GGT)の上昇、炎症のマーカー(CRP)の上昇が見られました。

 

また、超音波検査では、胆嚢壁の肥厚、胆嚢周囲の高エコー(白っぽく見えること)、胆泥貯留が認められました。

 

赤矢印は胆嚢壁の肥厚、青矢印は胆泥貯留を示しています。

 

 

参考として以下に正常の胆嚢を示します。

このように、正常では胆嚢壁は通常見えず、胆泥貯留もみられません。

 

しかし、犬では正常でも胆泥貯留は認められるため、画像で他の異常が見られないか、血液検査で肝酵素の上昇がないかなどを併せて確認する必要があります。

 

 

上記の検査所見から、感染の可能性を考慮し、超音波検査を行いながら胆嚢に針を刺して胆汁を採取しました。

 

採取した胆汁の検査の結果、3種類の細菌感染が確認されたためそれらに対し効果のある抗菌薬の投薬を開始しました。

 

この細菌性胆嚢炎は、原因となる細菌を特定し、それらに対し効果のある抗菌薬を使用すれば数日で治療効果は出てきます。

 

しかし、再発予防などの観点から調子が良くなっても1ヶ月は抗菌薬の投薬を継続する必要があるため、ご家族のサポートが必要となります。

 

 

このわんちゃんは1ヶ月間しっかりとお薬を飲むことができ、元気や食欲も正常に戻り調子は良好です。

 

今後も再発に注意しながら引き続き経過を見ていきます。