卵巣嚢腫
病態
卵巣嚢腫とは、卵巣内に液体が溜まる袋状の病変ができることです。
卵巣嚢腫には、卵胞嚢腫と黄体嚢腫があります。
卵胞嚢腫は卵胞が発育して、排卵しないまま卵胞が成長し続けるもので、黄体嚢腫は卵胞嚢腫の卵胞壁が黄体化を起こしたものです。
猫は交尾刺激が無いと卵胞が排卵して、黄体が形成されないため、黄体嚢腫の発症はほとんどありません。
症状
卵胞嚢腫ではエストロジェンの作用により、発情が持続することが多いです。
その場合、外陰部の腫大や、発情出血などの発情兆候が持続して見られます。
エストロジェンの産生が起こらない卵胞嚢腫もありますが、その場合は発情兆候が出ません。
黄体嚢腫ではプロジェステロンの分泌により、子宮蓄膿症を併発することもあります。
診断
腹部超音波検査により、卵巣の腫大や、嚢胞を確認します。
また血中エストロジェン値や、プロジェステロン値を測定することもあります。
治療
第一選択は外科的切除です。
手術が選択できない場合は、注射でのホルモン剤投与による排卵誘起処置を行います。ただし成功率は高くないことと、発情毎に再発する可能性が高いです。
いずれの治療でも、長時間発情が持続していた場合は外陰部や乳頭の腫大などの症状が、完全に消失しないことがあります。