腫瘍(ガン)/検査
肛門周囲の腫瘍(まとめ)
最近、肛門周囲の腫瘍が多い気がするので、一度まとめておきたいと思います。
肛門周囲腫瘍で代表的なものには、肛門周囲腺腫(良性)、肛門周囲腺癌(悪性)、肛門嚢(アポクリン)腺癌が挙げられます。(その他には皮膚メラノーマなどの様々な皮膚腫瘍も発生します。)
確定診断には、病理検査や細胞診検査が必要ですが、ある程度は性別や去勢の有無、そして腫瘍の場所などから予想できます。
下記にそれぞれの腫瘍の特徴を示します。
割合 | 腫瘍名 | リンパ節浸潤 | |
良性 | 約80% | 肛門周囲腺腫(♂、♀) | 0% |
悪性 | 約20% | 肛門周囲腺癌(♂) | 13% |
肛門嚢アポクリン腺癌(♀) | 50% | ||
まれ | その他の腫瘍 | 不明 |
肛門周囲腺腫
- ホルモン依存性
- ゆっくり成長
- 可動性あり
- 治療は外科切除が第一選択(去勢手術も同時に実施)
- 90%が切除で完全治癒、10%未満で再発あり
- 腫瘍が大きい時は先に去勢手術のみも考慮
肛門周囲腺癌
- ホルモン非依存性
- 成長は急速(数か月)
- 肛門括約筋と固着していることが多い
- 治療は外科切除と場合により放射線療法や化学療法を考慮する
- 5cm以上は予後不良である場合が多い
- リンパ節転移をチェック
- 排便障害あり
肛門嚢アポクリン腺癌
- 50~90%で高Ca血症を伴う
- 高Ca血症による多飲多尿、腎不全注意
- 治療は外科切除と放射線療法と化学療法を組み合わせる
- 再発率50%
- 1年平均生存率40%
- 高Ca血症を伴う場合、術後生存中央値3~6ヶ月以内
- リンパ節転移をチェック
- 排便障害、疼痛あり
院長 萩森