犬
皮膚科・耳科/脳神経科(脳・脊髄の病気)
中耳炎

動物 | 犬 |
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種類 | ミニチュア・ダックスフンド |
性別 | 避妊メス |
年齢 | 14歳 |
地域 | 京都市北区 |
症状/病態 | 斜頸、眼振 |
考えられる病気 | 中耳炎、内耳炎、脳炎、脳腫瘍など |
昨日から急に首が左に旋回し、眼振が起こっているとして来院されました。
来院時、眼振は認められませんでしたが左への捻転斜頸が認められました。
身体検査に始まり、血液検査、レントゲン検査、エコー検査など全身スクリーニングを行いましたが、特に顕著な異常は見られなかったため、脳炎など緊急性のある病気の可能性も考えて、翌日MRI検査、CT検査を行いました。
以下MRI検査(上)、CT検査(下)の画像です。
左側中耳にある鼓室胞に炎症産物や腫脹した粘膜を疑うような不整形病変が認められ、左側耳道内にも耳漏を疑う病変が認められました(青矢印)。
その他頭蓋内病変は認められなかったため、捻転斜頸、眼振を中耳炎による前庭神経症状と診断しました。
左耳の耳垢に細菌感染が認められていたため、細菌培養し抗生剤感受性試験に基づいた抗生剤の投与を行ったところ、数日で捻転斜頸が消失しました。
その後も耳道内の洗浄を定期的に行い、4週間抗生剤の投与続けて治療終了としました。
犬の中耳炎は外耳炎から引き起こされることが多いですが、本症例は初診時に外耳炎所見が見られなかったものの、中耳炎を診断することができた例です。
今回は中耳炎だったため抗生剤の投与で完治することができましたが、脳炎や脳腫瘍だと治療が全く異なってきます。
前庭疾患だけでなく、発作や傾眠など神経症状が疑われる場合は早めの精査をお勧めします。