本日の一症例

いびき/喉のできもの

腫瘍科(ガン)/外科

犬の口腔内メラノーマ(軟口蓋切除)

動物
種類 ミニチュアダックスフンド
性別 避妊雌
年齢 16歳
地域 京都市山科区
症状/病態 呼吸音の異常
考えられる病気 軟口蓋過長症、軟口蓋のできもの(腫瘍や肉芽腫など)

このわんちゃんは歯科処置を希望で、当院に来院されました。
しかし、身体検査の際にストライダーという呼吸音の異常が認められたため、喉の奥の軟口蓋という場所に何らかの異常がある可能性が疑われました。
そのため、喉のレントゲンを撮影したところ軟口蓋にできものが認められました(赤丸)。

ご家族にはこのまま麻酔をかけると呼吸ができなくなる可能性、麻酔をかけないにしても今後呼吸状態がより悪くなる可能性があることをお伝えし、まずは軟口蓋のできものを切除し、呼吸の通り道を作ってあげる手術を提案しました。

以下、手術の写真となります。苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは、呼吸が止まらないようにゆっくり麻酔薬を入れ、喉の奥を確認したところ予想通り軟口蓋にできものがあったため、できものの横から気管の中にチューブを入れ、気道を確保しました(赤丸ができもの)。

できものは比較的境界がはっきりしていたため1回目の手術としては診断も兼ねて、できもののみを切除し、呼吸の通り道を作ってあげることを目的としました(赤丸ができものがあった位置です)。

病理診断はメラノーマでした。
メラノーマは周りの正常な軟口蓋へも広がっている可能性、リンパ節にも転移している可能性があるため、2回目の手術としてより広範囲な軟口蓋の切除およびリンパ節の切除を行うこととしました。

手術後は、呼吸音の異常も認められなくなりました。
幸いリンパ節には転移していませんでしたが、今後肺など全身へ転移する可能性もあるため、ワクチンを投与し、できるだけ転移予防に努める予定です。

今回、呼吸音の異常に気づき、軟口蓋のメラノーマに気づくことができました。
今回のわんちゃんのように、高齢で呼吸音の異常やいびき、ご飯が飲み込みづらいなどの症状がみられる場合、喉の奥に腫瘍ができている可能性もありますので、症状がみられる際には早めに病院を受診するようにしましょう。

 

当院では、獣医腫瘍科認定医による腫瘍科専門外来を行なっております。

詳細は下記のリンクをご参照ください。

https://www.kamogawa-ac.jp/cancer-treatment-specialty/

診断名

犬の悪性黒色腫(メラノーマ)