本日の一症例

お尻を気にする/肛門嚢のしこり

腫瘍科(ガン)/外科

犬の肛門嚢腫瘍

動物
種類 チワワ
性別 去勢雄
年齢 11歳
地域 京都市北区
症状/病態 肛門周囲の腫れ
考えられる病気 肛門腺炎、皮膚炎、腫瘍

肛門の周りが赤くなって腫れているということで来院されました。
視診、触診で肛門周囲の腫れと疼痛がみられ、肛門腺の炎症や破裂が疑われる所見でした。

治療により炎症は改善し外から見た赤みや腫れは改善しましたが、触診では肛門周囲の腫れが完全には消えず、しこりのような腫大が残存していました。(下の写真の赤丸の位置ですが、見た目だけでは確認できません。)

そこで、腫瘤の評価のために針を使って細胞を採取する細胞診検査を実施しました。
その結果、悪性腫瘍が疑われる所見が認められました。

悪性腫瘍が疑われたため、腫瘍の転移の有無を確認する目的でCT検査を実施しました。
CT検査では腫瘍の位置と大きさ、周囲組織への浸潤の程度、肺やリンパ節などへの転移の有無を評価しました。

その結果、明らかな転移は認められませんでした。
このため、外科的切除による治療を行う方針となりました。

以下、手術の写真となります。苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

肛門嚢と腫瘤を確認しました。

周囲の筋肉を確認し切除後、腫瘤を剥離しました。

 

最後に肛門嚢管を糸で結んで閉鎖し腫瘤を切除しました。

 

腫瘤周囲の正常組織を含め、可能な限り十分なマージンを確保して切除しました。

切除後は術創を閉鎖し、術後は入院下で排便ができるかどうかを確認しました。
次の日には排便もできたため数日間の管理後に退院となりました。

退院後も通院にて創部のチェックを行いました。

以下は手術後から二週間後の術部の様子です。

摘出した腫瘤は病理検査に提出し、結果は脂肪肉腫(グレード1)という診断でした。
脂肪肉腫は悪性腫瘍に分類されますが、グレード1は比較的悪性度が低いタイプであり、今回の症例ではCT検査で転移がなく、外科的に摘出できたことから完治と判断しました。

肛門周囲の腫れは肛門腺炎や肛門腺破裂でもよくみられる症状ですが、今回の症例のように治療後も腫れやしこりが残る場合には腫瘍が原因となっていることもあります。また、見た目では気づくのことが難しい場合もあるので定期的に肛門腺のケアもするようにしましょう。
気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。

 

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