本日の一症例

元気がない、ぐったり/食欲がない/嘔吐・吐出/呼吸が荒い(苦しそう)

消化器科(腸の病気・肝臓の病気)/外科

胃拡張捻転症候群

動物
種類 サモエド
性別 去勢雄
年齢 9歳7ヶ月
地域 京都市左京区
症状/病態 えずき、腹部の張り、元気消失
考えられる病気 胃腸炎、異物による消化管の閉塞、中毒、膵炎など

朝食を食べた後から、複数回のえずきと腹部の張りが見られるとのことで当院へ来院されました。

触診で腹部がパンパンに張っている様子がみられたためレントゲン検査を実施したところ、胃の中に大量の空気の貯留と胃の捻転を疑うようなラインが確認できました。

 

このようなレントゲンの見え方は胃拡張・捻転で特徴的であり、胃が重度に拡張してしまうと周りの血管や臓器を圧迫して全身的な循環不全に陥ってしまうため、空気の抜去や手術が必要です。

そのため応急処置として胃の中のガスの抜去と静脈点滴を実施し、循環状態を改善させました。

循環状態が安定したのち捻転の整復と、再発予防のための手術を実施しました。

 

以下は手術の様子です。

苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開腹すると胃が捻転している様子が確認できました。

胃の捻転を整復後、胃の一部を腹壁に固定して閉腹しました

また写真のように胃の一部が黒っぽく変色しており壊死が疑われました。

このような胃の壊死は捻転から時間が経過するほど起こりやすくなるため、早急な処置が必要です。

 

手術後は入院下で内科治療を実施しました。

数日で元気が戻り退院後は食欲もすっかり元通りになりました。

 

胃拡張捻転症候群は、大型犬や高齢の子に多いと言われており、どんなに元気な子でも突然命の危機に晒されるとても危険な疾患で、治療までの時間が生存率を左右します。

食後や運動後に、何回もえずく、お腹が張ってきたなどの症状がみられる場合はすぐに病院へ相談していただければと思います。

診断名

犬の胃拡張胃捻転症候群(GDV)