犬
元気がない、ぐったり/食欲がない
外科
胆嚢粘液嚢腫(胆嚢破裂)
動物 | 犬 |
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種類 | トイプードル |
性別 | 未去勢雄 |
年齢 | 9歳 |
地域 | 京都市上京区 |
症状/病態 | 元気食欲低下、嘔吐、黄疸 |
考えられる病気 | 血液疾患、肝臓疾患、胆嚢疾患 |
元気食欲低下、嘔吐を主訴に来院されました。身体検査で眼の結膜の黄疸がみられました。
血液検査でも黄疸がみられ、エコー検査では本来胆嚢はきれいにはっきりと見えるのですが、このわんちゃんの胆嚢ははっきりとは見えず、お腹に水が溜まっていたため、胆嚢が破れてしまい、お腹に胆汁が漏れでてしまったと判断しました。
来院した時はかなり状態が悪かったので、まずは、点滴、吐き気止め、痛み止めなどである程度状態を改善させて、胆嚢破裂を完治させるためには手術が必要であることをお伝えし、手術を行うこととしました。
胆嚢破裂は、胆嚢粘液嚢腫や胆嚢炎、胆石などが原因で、胆汁の排泄が悪くなると、胆嚢の内容物により胆嚢の壁が圧迫され、虚血を起こすことで起こります。胆嚢破裂は手術しないと完治しない病気ですが、多くの動物は状態が悪いため、どのタイミングで手術をすべきかしっかり見分ける必要があります。
以下、手術時の写真となります(写真の左側が動物の頭側になります)。
苦手な方はご注意ください。
お腹を開けると、お腹の中の脂肪が黄色くなっているのが確認できます(赤丸)。
その後、本来胆嚢がある位置を確認するも、周りの脂肪がくっついており、確認できませんでした(赤丸)。
周りの脂肪を少しずつ剥がし、破裂した胆嚢を確認し(青丸)、胆嚢を少しずつ肝臓から剥がしていきます。
胆嚢管を縛って(青丸)、胆嚢を摘出します。
最後にお腹の中を洗って、できるだけ胆汁を取り除き、栄養チューブを入れて、お腹を閉じて手術終了です。
手術は無事終了しましたが、胆嚢破裂は術後管理にも細心の注意が必要です。
胆嚢破裂の場合、手術後すぐにはご飯を食べないことが多く、栄養失調を予防するため、栄養チューブよりご飯を補います。また、点滴や痛み止めなども同時に行います。
このわんちゃんも黄疸が正常になるまでに約1週間かかりましたが、無事元気を取り戻し退院しました。退院後は、病気になる前と同様にご飯も食べてくれています。
胆嚢破裂は比較的緊急的に手術が必要で、手術をしないと助けることはできません。
当院では手術のみならず、手術後も獣医師と看護師複数名で管理を行なっております。