犬
目が見えない
脳神経科(脳・脊髄の病気)
非感染性脳炎
動物 | 犬 |
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種類 | MIX |
性別 | 避妊雌 |
年齢 | 2歳1ヶ月 |
地域 | 滋賀県大津市 |
症状/病態 | 視覚障害、目が見えない |
考えられる病気 | 緑内障、白内障、網膜変性症、網膜剥離、脳炎、視神経炎など |
食欲や元気はあるものの、数日前から目の前のおやつを探したり、周囲にぶつかったり、歩きたがらないなど目が見えていないような徴候がみられるとのことで来院されました。
眼科検査にて両眼における威嚇瞬目反応および対光反射の消失が認められましたが、その他眼圧検査や眼底検査などで異常は認められませんでした。
血液検査やレントゲン検査、エコー検査でも特に症状につながるような異常は認められませんでした。
視覚障害を起こす原因疾患として、大きく分けて眼疾患と脳神経疾患が挙げられますが、後者は進行すると致命的になる可能性があります。
オーナー様と相談し、リスクの観点から脳神経疾患を除外するためMRI検査を行うことになりました。
以下MRI検査の画像です。
視交叉および視神経周囲の組織において造影剤による増強効果が認められました(赤丸)。
また脳脊髄液検査にて炎症細胞と蛋白の増加が認められました。
以上の検査結果より非感染性脳炎(眼型肉芽腫性髄膜脳脊髄炎)に起因した視神経炎と診断しました。
直ちにステロイド(プレドニゾロン)と免疫抑制剤(シクロスポリン)の投薬による治療を開始したところ、治療に反応し視力は回復しました。
ステロイドは徐々に減薬し、副作用があまり出ない用量で維持できています。
目が見えない、という症状が決して目だけではなく、脳神経系の問題であるケースが十分ありうることを痛感した症例でした。
同症状で気になることがあれば是非当院にご相談ください。