犬
皮膚が赤い
皮膚科・耳科/自己免疫疾患(免疫介在性疾患)
多形紅斑

| 動物 | 犬 |
|---|---|
| 種類 | ポメラニアン |
| 性別 | 避妊雌 |
| 年齢 | 6歳6か月 |
| 地域 | 京都市西京区 |
| 症状/病態 | 皮膚の赤み |
| 考えられる病気 | 外傷、薬疹、深在性感染、蕁麻疹、免疫疾患(天疱瘡、多形紅斑、全身性エリトマトーデスなど)、皮膚型リンパ腫など |
🐶突然お腹に赤い輪っかが…珍しい皮膚トラブル
🐾来院のきっかけ
「同居犬と喧嘩した時の傷がなかなか治らない」とのことでご来院されました。
📸来院時の皮膚の様子
診察室で体を詳しくチェックしたところ、耳や下腹部あたりに特徴的な赤い斑点が広がっているのが見つかりました。
皮膚の状態がこちらです。

・中心が白く抜けた、ターゲット状の赤い輪(標的状紅斑)(赤丸の部分)
・下腹部や耳など、毛の薄い部分に多発
見た目は派手ですが、この時点ではワンちゃん自身に強い痒みはありませんでした。
🔬実施した検査
まずは一般的な皮膚病(細菌感染やカビ、ダニなど)を除外するため、以下の検査を行いました。
- スタンプ検査: 皮膚の表面にスライドガラスを押し当てて、細菌やマラセチアが増えていないか確認します。
- 抜毛検査: 毛を抜いて顕微鏡で観察し、ニキビダニなどが隠れていないか調べます。
- ウッド灯検査: 特殊な光を当てて、皮膚糸状菌(カビ)の感染がないか確認します。
これらの検査結果はすべて「陰性」。一般的な皮膚炎ではないことが判明したため、さらに詳しく調べるため「皮膚パンチ生検(病理組織検査)」を実施しました。
🥣診断と治療方針
病理検査の結果、自分自身の免疫が皮膚の細胞を攻撃してしまう「多形紅斑(たけいこうはん)」と診断されました。
多形紅斑は、薬や感染症などがトリガーとなって免疫が暴走する疾患です。ただし正確な原因が特定しきれないケースもあります。今回は以下の治療を開始しました。
- 原因の探索と除去: 直近で使用した全ての薬やサプリメントの中止
- 免疫抑制療法: 暴走している免疫を抑えるため、内服(ステロイド)によるコントロール
- 低刺激なスキンケア: ダメージを受けた皮膚バリアを補うための保湿
🩺知っておいてほしい「多形紅斑」の注意点
今回の症例のように「傷が治らない」といった一見別の悩みから、この病気が見つかることもあります。特に注意していただきたいのは以下の点です。
- 「ただの湿疹」と見過ごさない 多形紅斑の最大の特徴は「ターゲット状の赤み」です。これが現れた場合、一般的な皮膚炎の薬(抗菌剤など)だけでは改善せず、むしろ薬そのものが悪化の原因になる場合もあります。
- 急激な進行に注意 重症化すると皮膚が広範囲に剥がれ落ち、激しい痛みや全身状態の悪化(命に関わる状態)を招くことがあります。特に「口の中の粘膜」などが赤く腫れてきた場合は、一刻を争うサインです。
- 薬との関係 新しいお薬やサプリメントを飲み始めてから数日〜数週間で皮膚に異変が出た場合は、必ずその内容を獣医師に伝えてください。
今回のワンちゃんも、早期に「病理検査」という踏み込んだ検査を行い、適切な診断を下せたことが早期回復への一番の近道となりました。
「いつもの湿疹と形が違う」「薬を塗ってもなかなか治らない」など、少しでも違和感を覚えたら、様子を見ずにお気軽にご相談ください。
🩺当院では、皮膚科・耳科の専門獣医師と連携し、より専門的な診断と治療を行っております。
皮膚や耳の症状でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

