猫
口の中のできもの
腫瘍科(ガン)/猫科(猫の病気)/外科
猫の口腔内扁平上皮癌(舌下顎全切除)
| 動物 | 猫 |
|---|---|
| 種類 | 日本猫 |
| 性別 | 去勢雄 |
| 年齢 | 13歳11ヶ月 |
| 地域 | 長岡京市 |
| 症状/病態 | 口腔内のできもの |
| 考えられる病気 | 炎症性疾患、扁平上皮癌など |
口腔内にできものが認められたため、紹介元病院を受診され、下顎骨に発生した扁平上皮癌と診断されたため、当院にご紹介いただき来院しました。
紹介元病院で実施したCT検査では、明らかな転移は認められなかったものの、腫瘍は広範囲に広がっており、中途半端に腫瘍だけを切除しても必ず再発するため、腫瘍を完全に取り除くためには、舌と下顎骨を全部切除する必要がありました。
舌と下顎骨を全部切除する手術は近年日本で行われており、日本から論文報告もなされています。
この手術のメリットは腫瘍を根治できる可能性があること、腫瘍による痛みを取り除くことができることです。
一方、デメリットは見た目が大きく変わり、猫ちゃんは口からご飯を食べることができなくなるため、生涯にわたって胃ろうチューブからの食事が必要となります。
また、手術以外の治療法では、根治が難しく、手術しなかったとしても最終的には見た目は大きく変わり、口から食べることができなくなってしまうのがこの病気の厄介なところです。
以上のことを飼い主様に十分ご説明の上、手術を希望されましたので、実施しました。
以下、手術の写真となります。苦手な方はご注意ください。
(写真はご家族のご承諾のもとあげさせていただいております)

猫ちゃんを仰向けに寝かせて、青いラインで切開を開始します

下顎腺(青丸)を周囲組織から分離し、耳下腺管(青矢印)を処理します
これらを処理することで術後の唾液の分泌を軽減することができます

筋肉を切開し、その下にある舌下神経(黄色矢印)を処理します

舌の後ろ側を処理したのち、下顎骨の血管や神経(青矢印)、筋肉を処理していき、舌と下顎骨、下顎腺をまとめて摘出します

切除後と縫合後の写真です
術後の経過は良好で、あらかじめ設置しておいた胃ろうチューブからご飯をあげて、ネブライザーをすることで手術部位が乾燥しないようにし、術後6日目に退院しました。
病理診断は扁平上皮癌であり、腫瘍は完全に切除できていました。
また同時に切除したリンパ節にも転移は認められませんでした。

抜糸後の猫ちゃんの写真です。
前から見ると、あまり目立ちませんが、横や下から覗くと見た目の変化があります。
また、喉は残っているため、鳴いたり、怒ったり、感情を表すことはできます。
完全に切除できているため、根治が期待できますが、今後は再発や転移がないか紹介元病院と連携を取りながら、経過を見ていく予定です。
すべての飼い主様が受け入れることができる手術ではありませんが、この腫瘍を治すうえでは必要となる手術であることを知っていただければ幸いです。
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