病気紹介

猫の口腔内扁平上皮癌

病態

口腔内の粘膜に存在する扁平上皮が腫瘍化した悪性腫瘍(がん)で、歯肉、舌、口唇、下顎骨などに発生し、中高齢(平均年齢:14歳)での発生が多いです。
局所浸潤性が非常に強く(がんが急速に周囲へ広がること)、転移は比較的稀です。

下顎骨の扁平上皮癌(左)と舌の扁平上皮癌(右)

症状

初期の段階では歯がぐらつく程度であり、口内炎と間違われることもあリます。
進行すると食欲低下や出血、疼痛、体重減少などが認められます。

診断

診断には針生検(細い針をさして細胞を採取する検査)あるいは組織生検(できものの一部を採取する検査)が必要です。

ステージングおよび併発疾患の確認

口腔内の扁平上皮癌と診断した場合、がんの大きさや広がり、リンパ節転移、遠隔転移(肺などへの転移)の評価を行います。これをステージングといいます。

同時に併発疾患がないかどうかも評価します。

これらの評価には以下の検査を組み合わせて行い、評価を基に治療方針を決定します。

・血液検査:併発疾患(貧血や腎臓病、肝臓病など)の評価
・尿検査:併発疾患(腎臓病など)の評価
・レントゲン検査:遠隔転移の評価
・CT検査:がんの大きさや広がり、リンパ節転移、遠隔転移の評価
※CT検査は、手術を行う場合、がんの広がりをより詳細に評価するために推奨される検査です

下顎骨の扁平上皮癌のCT画像(赤丸)
・リンパ節の針生検:リンパ節転移の評価

治療

がんの治療には主に「根治治療(積極的治療)」と「緩和治療」があります。

「根治治療(積極的治療)」とはがんと闘う治療であり、がんをできるだけ体から取り除くことを目的とした治療です。根治治療(積極的治療)は長期生存(一般的には年単位)を目的とした治療であり、がんを治すことができる場合もあります。一方、非常に悪性度の高いがんでは、根治治療(積極的治療)を行ったとしても数カ月程度で亡くなってしまう場合もあります。根治治療(積極的治療)では主に「手術」、「放射線治療」、「抗がん剤治療・分子標的治療」を単独あるいは組み合わせて行います。

一方、「緩和治療」とは、がんによる苦痛を和らげることを目的とした治療です。緩和治療は長期生存を目的とした治療ではなく、たとえ短期間(一般的には月単位)であってもその期間の動物の生活の質を改善するために行う治療です。緩和治療では主に「痛みの治療」、「栄養治療」、「症状を和らげる治療」を単独あるいは組み合わせて行います。

・口腔内扁平上皮癌の根治治療(積極的治療)

根治治療として手術が適応となります。

・口腔内扁平上皮癌の緩和治療

進行しており、手術が困難な場合、放射線治療や分子標的薬、免疫療法、その他症状を緩和する疼痛管理や栄養管理が行われます。

予後

下顎や舌に発生している扁平上皮癌の場合、手術で完全に取り除くことができれば、根治が期待できます。

一方、進行しており、手術が困難な場合の予後は悪く、生存期間中央値は数ヶ月です。

 

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