犬
充血(目が赤い)・目やに/目が白い
眼科(目の病気)/外科
柴犬の緑内障(後編)

動物 | 犬 |
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種類 | 柴犬 |
性別 | 雌 |
年齢 | 6歳 |
地域 | 京都府宇治市 |
症状/病態 | 眼の痛み、不快感、視覚の消失 |
考えられる病気 | 原発性緑内障 |
原発性緑内障を発症した柴犬の右眼の視覚が消失し、牛眼になってしまったため、強膜内シリコン義眼挿入術を実施しました。
前回の記事:https://www.kamogawa-ac.jp/case/canine-glaucoma-2/
強膜内シリコン義眼挿入術とは、眼球摘出術とは異なり、眼球の外層である角膜と強膜は残したまま、眼球内容物を除去し、その代わりにシリコンの義眼を眼内に移植する方法です。
この手術の利点は眼の疼痛と不快感、牛眼化による露出性角膜炎が解消でき、また術後の外観も受け入れやすいです。
術前の状態です。
右眼は拡大し、充血があります。
以下、手術時の画像が出てきます。注意!!
眼の消毒後、まず結膜を切開し、その下にある強膜を露出させます。
次に強膜を切開します。
眼球内容物である、水晶体、硝子体を取り出します。
次にぶどう膜、網膜を剥がして摘出します。
専用の器具で、シリコン義眼を挿入します。
切開した、強膜と結膜を縫合し、終了です。
術後2ヶ月で、眼球内の血はすっかり消失しました。
痛みや不快感もありません。
強膜内シリコン義眼挿入術では、眼球摘出術と違い、外観を保つ事ができます。
視覚を失って、内科管理が難しい緑内障の患者には、この手術の実施をお勧めします。