角膜潰瘍

病態
眼球の一番表層にある角膜が傷つき、欠損している状態です。
大きな目の個体、短頭種に起こることが多く、外傷や目をこすったなどの物理的刺激や、細菌・ウイルス感染による角膜炎の経過中、涙の分泌量や質の低下など角膜の状態が悪い時に起こります。
症状は、目をショボショボさせる(痛み)、目の周りを掻く、充血、涙が多い、目やにがでる、、目の表面が白っぽくなっている、などです。
診断
問診、丁寧な視診をします。
特に角膜を診断する重要な検査として、
角膜染色検査(フルオレセイン染色テスト):角膜に蛍光色の液体をなじませ、着色した欠損部を特殊なライトで確認します。
スリットランプ検査:特殊な光を当てて、角膜の傷の深さを診ます。
他、必要に応じて、
シルマーティア検査(試験紙を目に挟んで涙の分泌量を測る)、眼圧検査、細胞培養、細胞診(点眼で麻酔し、角膜表面の細胞を採取し観察)をすることもあります。
治療
潰瘍部が小さく浅い場合は、点眼(角膜保護栄養剤、抗生剤、など)をします。
数種類の点眼をする場合は、一度に全種類をまとめて滴下せず、1種類ずつ間隔(5〜10分ほど)をおいて点眼すると効果的です。
顔の前から目薬をさそうとせず、頭の上から上瞼を引き上げて、後ろからアプローチすると点眼しやすいです。
点眼液の先をまつ毛などに接触して汚染しないよう気を付けてください。
目やになど汚れがある場合は、濡らしたガーゼなどで拭き取ってから点眼するとよいでしょう。
また、カラーをするなど、目をこすらないように注意が必要です。
潰瘍部が大きく深い、難治性の場合(デスメ膜瘤など)は手術を検討します。
角膜には血管がなく、周りの組織から血管新生がおこり瘢痕化(肉芽組織が欠損部を修復する)するため、角膜欠損部が深い場合(角膜上皮だけでなく実質に及ぶ場合)は、治癒後も角膜に白濁が残ることがあります。
目が赤い(充血)、目ヤニなどの症状があらわれた際は一度ご連絡ください。