レッグペルテス(大腿骨頭壊死症)
病態
骨端軟骨が閉鎖していない大腿骨近位骨端への血液供給障害により生じる大腿骨頭の虚血性障害と、それに続く非炎症性無菌性壊死
結果、大腿骨頭の成長障害が生じ、骨の変形・崩壊が生じてしまう疾患
若齢で発症し、病因と発症機序は明らかになっていないが解剖学的形態・先天的・遺伝的要素が疑われる
症状
初期には痛みがみられないが、進行とともに関節痛が強くなり緩徐進行性または急性の後肢跛行がみられる
発症後経過が長い症例では荷重歩行困難、筋萎縮が認められる
診断
問診、視診、触診
・持続性の後肢跛行
・股関節伸展時の疼痛や捻髪音
・大腿筋の触診で筋の萎縮、筋肉量の減少の確認
レントゲン検査
・寛骨臼の変形
・大腿骨先端の尖形
・骨密度の低下
・頚部の骨量増加・短縮
治療
ほとんどの症例で外科手術が推奨される
外科療法
疼痛緩和や跛行軽減を目的とする。
・大腿骨頭切除術(FHO):壊死した大腿骨頭を切除することで大腿骨頭と寛骨臼の接触を無くし痛みを取り除きます。切除した部分には線維性偽関節が形成され股関節が機能回復するので日常生活は問題なく過ごせることが多い。
・股関節全置換術(Total Hip):大型犬の場合
外科手術後には早期にリハビリテーションを行うことで機能回復を早める。
保存療法
単純レントゲン検査の所見がきわめて軽度な場合に実施するが一般的に反応率は悪い。関節変形の進行を妨げるものではない。
・痛み止め:痛みが見られる場合は消炎鎮痛剤などを使用
・関節炎注射(カルトロフェン):軟骨基質の産生促進、抗炎症作用、ヒアルロン酸合成促進、血行改善、蛋白分解酵素の活性阻害の作用がある。
・その他:安静、運動制限などで疼痛緩和