病気紹介

副腎皮質機能低下症(アジソン病)

病態

副腎とは、左右の腎臓の付近に存在する小さな臓器であり、身体の恒常性を

維持するために重要な役割を担うホルモンを分泌する働きがあります。

副腎皮質機能低下症は副腎皮質の大部分が破壊されることで、ホルモンが不足すること

によって発症します。原因は様々ですが、大きく分けると自己免疫性の破壊が原因と考えられ

ている原発性、下垂体周辺の病変や頭部の損傷などによる二次性、薬剤による医原性など分類

されます。

 

症状

発症から診断までの持続期間によって重症度は変わりますが、食欲・元気がない、嘔吐、沈鬱

などが一般的です。そのほかにも下痢や多飲多尿、震えなどが認められることもありますが

アジソン病に特徴的な症状ではなくどんな病気でも認められる症状なため注意が必要です。

 

診断

血液検査で、電解質の異常(低ナトリウム血症、高カリウム血症など)を確認します。

その他、高窒素血症や高カルシウム血症、低血糖が認められることも多いです。

ただし、非定型型のアジソン病と呼ばれる特殊なアジソン病では血液検査で異常が

認められないこともあるので血液検査で異常がないからと言って病気を否定することは

できません。また、腹部超音波検査により左右の副腎の萎縮が認められることも多いので

画像検査も重要な検査の一つです。確定診断にはACTH刺激試験と呼ばれるホルモン検査を

行い、ホルモン濃度を測定することでアジソン病を診断することが可能です。

 

治療

アジソン病の治療は、急激な副腎皮質ステロイドの不足によって生じる急性副腎不全に対する

ものと、ホルモン補充療法による維持治療に分類されます。急性期の治療では、循環血液量の

減少や低血圧、血液中の電解質の異常、低血糖などを点滴により補正します。また、

グルココルチコイド製剤の投与を行うこともあります。慢性期に移行したアジソン病では、

ホルモン補充療法によって副腎皮質ホルモンの不足を改善します。