病気紹介

免疫介在性血小板減少症

病態

免疫介在性血小板減少症(IMT)とは、免疫異常により自己血小板に対する抗体が産生され、それを介して血小板が破壊され減少する疾患です。

原発性と二次性に分類されます。

原発性では血小板の表面にある膜蛋白に対する自己抗体の産生が原因とされ、二次性では基礎疾患となる炎症性疾患や腫瘍性疾患の存在によって、抗体を介して血小板の破壊が生じると考えられています。

 

症状

・皮膚や粘膜における点状出血や紫斑

・鼻出血

・血尿

・血便

以上を中心とする様々な出血所見が見られます。

ただし症状を全く呈さず、血液検査で偶発的に見つかることもあります。

 

診断

免疫介在性血小板減少症を診断するには、血小板が減少するその他の疾患を除外する必要があります。

除外するべき疾患は以下のような疾患です。

・エールリヒア症などの感染症

・骨髄疾患による骨髄での産生低下

・特定の犬種における先天性の巨大血小板性血小板減少症

・大量出血に伴う喪失

・様々な基礎疾患に起因した血栓形成

・薬物や毒物への曝露

これらを除外するために、血液検査・血液凝固検査・レントゲン・エコー検査・尿検査・便検査を含む全身的な検査を行います。

またこれらの検査結果を元に、麻酔下での骨髄検査を実施するか検討します。

 

治療

・支持療法

まず、血小板が著しく減少している場合は、外傷による出血を防ぐためケージレスとなどを実施します。

血小板減少に伴う出血で貧血を呈している場合は輸血を実施します。

 

・免疫抑制療法

もっとも一般的な治療は、プレドニゾロンをはじめとする免疫抑制剤を用いた治療です。

場合によっては複数種類の免疫抑制剤を組み合わせて治療することもあります。

治療に反応がある場合は徐々に減薬しながら経過を見ていきます。

免疫抑制療法中は、感染症を併発する可能性があるため注意が必要です。

 

治療が奏功し寛解を得た場合でも、再発率は約30%程度とされているため、慎重に経過観察する必要があります。