病気紹介

高脂血症

◯病態

高脂血症とは、総コレステロール(T-CHO)またはトリグリセリド(TG)の血中濃度が上昇した状態を示すものです。通常、12時間以上絶食した状態で血液検査を行い、上記の数値が上がっていれば高脂血症と診断されます。

高脂血症は原発性と続発性に分類されます。原発性は遺伝や先天的な異常で発生し、ミニチュアシュナウザー、シェットランドシープドッグなどで多く見られます。

続発性の原因としては甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、糖尿病、膵炎、閉塞性肝障害、ネフローゼ症候群などが挙げられます。一般的に原発性よりも続発性の方が多く見られます。

◯症状

特に症状が認められないことが多いですが、食欲不振、嘔吐、下痢、腹部痛、発作、無気力、ぶどう膜炎などが発現することもあります。

◯診断

まずは基本的な問診、視診、聴診、触診をします。

その後、12時間以上絶食していることを確認して血液生化学検査を行います。血液生化学検査では、続発性の可能性も考慮して複数の項目を測定します。もちろん血液検査だけでは除外できないため、続発性が疑わしい場合は、画像検査(レントゲン検査、エコー検査)に加え尿検査、ホルモン検査なども実施します。

◯治療

絶食時の高脂血症が認められた場合は、基礎疾患の探索を行います。複数の基礎疾患が混在している場合は、重度の高脂血症を引き起こしやすい内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、糖尿病)や肥満などから治療します。

原発性高脂血症は基礎疾患が全て除外された後に診断されます。

治療法としては、原発性、続発性に関わらず、以下の治療を行います。

・食事療法(低脂肪食、高繊維食)

・サプリメント(アンチノール、エネアラ)

・脂質代謝改善薬

基本的には食事療法(1日の総量は変えず食事回数を増やすことも有効)とサプリメントを併用して、改善が見られない場合に薬剤を使用します。