甲状腺機能亢進症
病態
甲状腺機能亢進症は10歳以上の猫に多発する疾患で、犬での発生は稀です。甲状腺における
ホルモンの過剰産生・分泌によって発生する全身性の疾患です。片側または両側の甲状腺の
良性の腺腫過形成によるものが一般的であり、甲状腺癌の発生によるものは稀です。
甲状腺が腺腫過形成を引き起こす原因は明らかになっていませんが、免疫学的、遺伝的、
感染性、代謝性、環境など様々な要素が複合的に関与していると考えられています。
症状
典型的な臨床症状には、体重減少、多食、情緒不安定、活動性の亢進などが挙げられます。
その他にも、もつれた毛や脱毛、過剰なグルーミング行動、多飲多尿、嘔吐、下痢などが
起こる事もあります。甲状腺機能亢進症は複合的な全身性の疾患なので、臨床症状が他の
疾患に類似することが多いので高齢の猫で内科的な問題がある場合は甲状腺機能亢進症を
必ず考慮する必要があります。
診断
甲状腺機能亢進症は、T4(サイロキシン)と呼ばれるホルモンの血中濃度を測定することに
より診断することができます。臨床症状を伴っており、血液中のT4濃度が高値を示す場合は
高い確率で甲状腺機能亢進症を診断することができます。
治療
治療法には、経口の抗甲状腺薬の投薬あるいは外科的な甲状腺の摘出が挙げられます。
患者の年齢や一般健康状態、腎機能の状態、併発疾患の重症度、甲状腺が過形成を
引き起こしているのか、甲状腺癌を発生しているのかなど様々な因子を考慮して決定
する必要があります。治療で悩まれている方は、一度当院までご相談ください。