尿蛋白について

健康診断や体調不良で行った尿検査で、「尿蛋白が出ていますね」
と言われて、不安になったことはありませんか?
尿蛋白は、一時的な変化で問題ない場合もありますが、腎臓病の初期サインであることも
あります。また、元気や食欲がある段階でも尿蛋白だけが先に見つかることも少なくありま
せん。今回は、尿蛋白とは何か、どのような原因で起こるのか、追加検査や治療の必要性に
ついて解説します。
尿蛋白とは?
本来、健康な犬や猫の尿には、ほとんど蛋白質は含まれていません。
腎臓には「糸球体(しきゅうたい)」というフィルターの役割をする部分があり、
体に必要な蛋白質は血液中に残し、不要なものだけを尿として排泄しています。
しかし、このフィルター機能に異常が起こると、蛋白質が尿中へ漏れ出てしまいます。
これが「尿蛋白(蛋白尿)」です。尿蛋白は、腎臓や尿路の異常を早期に発見するための
重要なサインのひとつです。
原因
尿蛋白の原因はさまざまです。
腎臓の病気
特に重要なのが、腎臓のフィルター部分(糸球体)の障害です。
・慢性腎臓病
・糸球体腎炎
・遺伝性の腎疾患
などで尿蛋白が認められることがあります。
猫では慢性腎臓病の初期変化として尿蛋白がみられることがあります。一方、犬では
糸球体疾患など、比較的強い蛋白尿を示す病気が隠れている場合があります。
尿路の炎症や感染
腎臓以外にも、
・膀胱炎
・尿道炎
・前立腺疾患(犬)
などで炎症が起こると、蛋白が尿に混じることがあります。
一時的な変化
・激しい運動後
・発熱時
・強いストレス
などでも、一時的に尿蛋白が認められることがあります。
そのため、尿蛋白が1回見つかっただけで、すぐに腎臓病と診断されるわけではありません。
症状
実は、初期にはほとんど症状がありません。
そのため、健康診断の尿検査で偶然見つかるケースが非常に多くあります。
病気が進行すると、
・水を飲む量が増える
・尿量が増える
・食欲低下
・元気消失
・体重減少
・被毛の状態が悪くなる
・むくみ(浮腫)
などがみられることがあります。元気だから大丈夫とは限らないため、定期的な
健康診断が重要です。
検査
尿蛋白/クレアチニン比(UPC)
尿蛋白が本当に問題となる量なのかを評価するために、「UPC(尿蛋白/クレアチニン比)」
という検査を行うことがあります。これは尿の濃さの影響を補正し、どの程度蛋白が漏れて
いるのかを正確に評価できる検査です。UPCの結果によって、
・経過観察でよい場合
・定期的なモニタリングが必要な場合
・治療を検討すべき場合
を判断します。
血液検査
血液検査では、
・腎機能(BUN、クレアチニン、SDMA)
・アルブミン値
・電解質
などを確認し、腎臓への影響を評価します。
血圧測定
高血圧は尿蛋白の原因にも結果にもなるため、必要に応じて血圧測定を行います。
画像検査
超音波検査などにより、腎臓の大きさや形に異常がないかを確認することもあります。
治療
治療が必要かどうかは、原因や尿蛋白の程度によって異なります。
原因となる病気の治療
・膀胱炎などの感染症に対する治療
・高血圧に対する降圧治療
・腎疾患に対する治療
など、原因に応じた治療を行います。
腎臓を保護する治療
腎臓からの蛋白漏出が持続している場合は、
・ACE阻害薬
・ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)
などを使用し、腎臓への負担を軽減することがあります。
また、必要に応じて腎臓病用療法食をおすすめする場合もあります。
まとめ
尿蛋白は、犬や猫の健康状態を知るうえで重要なサインのひとつです。
・尿蛋白が1回出ただけでは、必ずしも病気とは限らない
・腎臓病や尿路疾患の早期発見につながることがある
・UPC検査などで詳しく評価することが大切
・早期発見・早期対応によって腎臓を守れる可能性がある
健康診断で「尿蛋白が出ています」と言われた場合は、自己判断せず、かかりつけの
獣医師に相談しましょう。
当院では、尿検査で蛋白尿が認められた場合、必要に応じてUPC測定、血液検査、
血圧測定、超音波検査などを組み合わせて総合的に評価を行っています。「健康診断で
尿蛋白を指摘された」「追加検査をした方が良いのか相談したい」という方は、お気軽に
ご相談ください。

