特発性前庭疾患
特発性前庭疾患とは高齢の犬で比較的多くみられる疾患です。
病態については不明で神経の炎症が原因の一つとして考えられています。
症状
突然発症することが多く、頭の傾き(斜頸)、眼振、歩行異常(旋回運動や起立不能)、嘔吐、流涎などの症状が認められますが、意識ははっきりとしていることが多いです。
食欲低下や嘔吐が続くと全身状態が悪化してしまうため注意が必要です。
診断
特発性前庭疾患については各種検査において特徴的な以上は認められず、診断については他の鑑別疾患を除外することで行います。
鑑別疾患としては脳の病気(脳炎、腫瘍など)、耳の病気(内耳炎、中耳炎)、顔の腫瘍、外傷などが挙げらます。診断の際はこれらの疾患を除外するために血液検査やレントゲン検査、CT、MRI検査などを実施します。
治療
病態が明らかになっていないため、効果的な治療方法は確立されていません。
しかし、自然に治ってくれることもあります。改善までの期間はさまざまで2、3日で改善することもあれば1ヶ月以上続いてしまうこともあります。
改善までの期間は対症療法を行うこともあり、嘔吐がある場合は吐き気止めや点滴、歩行に以上がある場合は行動範囲を制限したり環境を整備したりする必要があります。
また試験的にステロイドを使用することもありますが、他の原因があった場合は悪化する可能性もあるのでしっかりと検査をしてから治療に臨みましょう。