病気紹介

犬の糖尿病

インスリンの不足、欠乏により持続的に高血糖となり、さまざまな代謝異常を呈する病気です。初めは無症状のこともあれば、進行するとケトアシドーシスにより命に関わるような症状を呈する場合もあります。

糖尿病の原因としては大きく二つに分けられます。

①インスリンを産生する膵臓(特にβ細胞)に障害が生じる

・特発性

・免疫介在性

・膵炎

 

②インスリンに対して抵抗性を持ってしまう

・他の内分泌疾患(クッシング症候群、先端巨大症など)

・医原性(ステロイドの長期投与、プロゲステロン製剤の投与)

・発情や妊娠

 

症状


初期は多飲多尿、多食や体重減少が見られ無症状のこともあります。進行してケトアシドーシスに陥ると元気、食欲の低下、消化器症状、脱水などの症状が見られることがあります。また、長期的に高血糖が持続すると白内障や腎臓病、感染症などを併発することもあります。

診断


特徴的な臨床症状、尿中への糖の排泄(尿検査)、空腹時の高血糖(血液検査)などの検出により診断します。

治療


基本的に根治することは難しいことが多く、食事療法とインスリンの注射を実施します。

治療の目標としては持続的な高血糖を回避すること、合併症を予防すること、インスリン投与による低血糖を回避することなどが挙げられます。これらの目標を達成するインスリン投与量を決定するために治療の当初は病院にて患者さんをお預かりし、1日の血糖値の変動をモニターする必要があります。

また膵炎や内分泌疾患などに続発する糖尿病であればこれらの疾患を治療することで、一部の患者さんで高血糖も改善されることがありますが、多くの場合生涯にわたって管理する必要がある病気です。