病気紹介

高カリウム血症

病態 

犬や猫は1日に一定量のカリウムを食事などから摂取し、そのうち90%を尿に排泄、残り10%を腸液として分泌しています。血清カリウム濃度が5.0~5.5mEq/Lを超える状態を高カリウム血症と呼びます。高カリウム血症は、徐脈や心室細動など、心臓の動きに異常をきたす恐れがあり、命に関わります。

 

原因

高カリウム血症を引き起こす主な原因としては以下があります。

1 腎不全、尿閉、膀胱破裂などの尿路系疾患による、尿へのカリウム排泄低下

2 代謝性アシドーシス、糖尿病、腫瘍融解症候群、ジギタリスの投与による、細胞内から細胞外へのカリウム移動

3 副腎皮質機能低下症などによる、アルドステロン(水分や塩分を調節するホルモン)の分泌不足

4 尿細管障害、カリウム保持性利尿薬の投与による、アルドステロンの作用不足

5 カリウムの過剰摂取または投与

 

症状

血清カリウム濃度が6.0mEq/Lを超えると徐脈や不整脈などの心機能異常や骨格筋の衰弱が起こり、血清カリウム濃度が8.0mEq/Lを超えると心停止の恐れがあります。

 

治療

血液検査、画像検査、尿検査、ACTH刺激試験(ホルモンの検査)などで高カリウム血症の原因を探し、その原因疾患に対する治療を行います。血清カリウム濃度が7.0mEq/Lを超えている場合には、緊急的に血清カリウム濃度を下げる目的で点滴や薬物治療を行います。 

慢性的な高カリウム血症の中には、まれに、心電図に異常があるにも関わらず無症状の場合があります。症状がない場合、異変に気付くことが難しいですが、当院では半年~年1度の健康診断を推奨しておりますので、お気軽にご相談ください。