GIST(消化管間質腫瘍)

病態
消化管間質腫瘍(通称GIST)は,、消化管の粘膜下に発生する間葉系腫瘍の1つで、起源は、腸管の蠕動運動のペースメーカーであるカハール介在細胞です。
このカハール介在細胞が、KITと呼ばれるチロシンキナーゼを持っていることから、 GISTの多くは異常な変異KIT を発現していると言われています。
つまり、異常な変異KITを持っていると、見境なく増殖のシグナル(信号)がでて、細胞は増殖し、腫瘍化してしまうというわけです。
ちなみに、この腫瘍での犬での c‒kit遺伝子変異率は47%です。
GISTの好発部位は、人では胃ですが、犬では胃には少なく、その大半が小腸や大腸に発生します。
<犬GISTの発生部位>
胃:0-19%
小腸:29-31%
大腸:47-69%
イヌGIST全体の生存期間中央値は356日で、興味深いことに、去勢・避妊済みの犬では長生きしています。
これは、性ホルモンがGISTに関わっていると言われています。
診断
基本的には、無麻酔での細胞診検査で下のような紡錘形の細胞群を検出することで診断します。
ただし、細胞がとれにくい腫瘍の一つなので生検による病理検査が必要になることもあります。
また、上述したようにGISTの一部ではc-kit遺伝子に変異が見られるので、遺伝子検査を追加で実施する場合がほとんどです。
周囲臓器(特に肝臓)やリンパ節に転移所見がないか、エコーなどの画像診断で確認する必要があります。
治療
基本的には、外科切除が第一の腫瘍です。
また、GISTは分子標的薬が有効な数少ない腫瘍に一つなので、巨大で切除不可能な場合や、すでに転移があり手術適応でない場合は、分子標的薬(イマチニブやトセラニブ)を使用することも多々あります。
当院では、獣医腫瘍科認定医による腫瘍科専門外来を行なっております。
詳細は下記のリンクをご参照ください。