SDMAの上昇
犬や猫の腎機能を評価する際には、血液検査でBUN(尿素窒素)やクレアチニンなどの
項目を測定したり尿検査を行ったりしますが、これらの数値は腎臓の機能が正常の
1/4程度まで低下しないと基準値を上回ってこないことが報告されています。
そこで、近年腎臓の機能の指標として、対称性ジメチルアルギニン(SDMA)と
呼ばれるものが用いられています。
特徴
SDMAは、BUNやクレアチニンと比較して、早期の腎臓病の診断を可能にする血液化学検査の
新項目です。SDMAは、ほとんどが腎臓から濾過されることにより排泄されるため、糸球体の
濾過率、つまり腎機能の優れた指標となります。
また、SDMAは慢性腎臓病においてクレアチニンよりも早い段階で数値が上昇してきます。
クレアチニンは腎機能が約75%喪失するまで上昇しないのに対し、SDMAは腎機能が平均40%
喪失した時点で上昇します。猫では平均17カ月、犬では9.5カ月早く腎臓病を発見できる
可能性があることが血清クレアチニンとの比較でわかっています。
クレアチニンは、腎臓の機能を評価する際には重要な検査項目ですが、欠点として筋肉量の
影響を受けることが挙げられます。高齢の動物のように、筋肉量の低下している動物では
クレアチニンの有用性が低下してしまいます。一方で、SDMAは筋肉量に左右されないため
痩せた動物であっても正確に腎機能を測定することができます。
基準値は、犬・猫で0〜14μg/dL、子犬で0〜16μg/dLです。
SDMAが高値を示した場合…
SDMAの検査を行い高値を示した場合、総合的な尿検査を行って腎臓病が疑わしいかどうかを
重ねて検査します。腎臓病の可能性が疑われる場合、また、腎臓病に見られる症状がなくても
再検査でSDMAが再び高値を示した場合は、基礎的な疾患などを考慮しつつ適切な治療を
行っていきます。