本日の一症例

頻尿/水をよく飲む、尿が薄い

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

動物
種類 ミニチュアダックスフンド
性別 去勢オス
年齢 13歳
地域 京都市北区
症状/病態 多飲多尿(頻尿)
考えられる病気 副腎皮質機能亢進症、副腎皮質機能低下症、糖尿病、慢性腎臓病、甲状腺機能低下症など

元気食欲は問題ないものの、よく水を飲んでいる気がする、夜中にトイレで起こされる、などを主訴に来院。

何らかの多飲多尿の原因となる基礎疾患の可能性を疑い、精査を行いました。

 

血液検査にて著変は認められませんでしたが、肝数値であるGPT、ALPの軽度上昇が認められました。

尿検査にて低比重尿が認められました。

低比重尿は尿が薄い状態であることを示し、一般的に多飲多尿である可能性が示唆されます。

腹部エコー検査にて左右副腎の腫大(正常は6 mm以下)が認められました(画像は左副腎)。

副腎の腫大は副腎の腫瘍化や、過剰にホルモンを分泌していることを示唆します。

その他画像検査にて顕著な異常は認められませんでした。

これらの検査結果より副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)( https://www.kamogawa-ac.jp/desease/hyperadrenocorticism/)が疑われたため、日を改めてACTH刺激試験を行いました。

ACTH刺激試験とは、クッシング症候群の診断に用いる検査法です。

副腎を刺激するホルモンを投与し、前後のコルチゾールホルモンの数値を測定します。

 

検査の結果、ホルモン注射後のコルチゾール値は26.1 µg/dL(正常:8~18 µg/dL)であり高値が認められたため、クッシング症候群を診断することができました。

オーナー様と相談し、これ以上の精査は進めずにお薬による内科療法を始めました。

お薬を飲み始めて徐々に尿の調子は良くなり、夜中に起こされることもなくなったようです。

後日コルチゾール値を再度測定すると、ホルモン注射後でも15 µg/dLと正常値に落ち着いていたため、同治療を継続しています。

 

このように、元気そうでも何かしらの病気が見つかることがあります。

今回は症状ありきで診断を進めましたが、健康診断で偶発的に見つかることもあります。

おうちの動物さんの調子で少しでも気になることがあれば、当院にご相談ください。

診断名

クッシング症候群