犬
頚のしこり
腫瘍科(ガン)/外科
犬の扁桃の扁平上皮癌
動物 | 犬 |
---|---|
種類 | ボーダーコリー |
性別 | 去勢雄 |
年齢 | 9歳 |
地域 | 京都市 |
症状/病態 | 頚のしこり |
考えられる病気 | 炎症、脂肪腫、リンパ腫、がんの転移、甲状腺癌など |
頚にしこりがあるとのことで紹介来院されました。元気食欲が低下しており、痛み止めを飲ませると改善されるとのことでした。
紹介元病院で撮影したレントゲンではしこりはリンパ節によるものと考えられ、針生検(細い針をさして細胞を採取する検査)を実施したところ、細胞が採取され、これらより扁桃の扁平上皮癌のリンパ節転移が疑われたため、CT検査を行う際に同時に扁桃の確認し、扁桃が腫れていれば切除することとしました。
以下、扁桃の写真となります。苦手な方はご注意ください。
左側の扁桃が腫れています(赤丸)。
扁桃を切除し、縫合後(赤丸)。
CT検査では、頚のしこりはリンパ節であり、同時に肺にも転移がみられました。
この時点で根治治療(積極的治療)は適応になりませんが、リンパ節の痛みにより元気食欲が低下しており、また今後さらにリンパ節が大きくなると咳や嚥下障害がみられるようになる可能性があるため、緩和治療を目的にリンパ節の切除を行うこととしました。
以下、手術時の写真となります(写真の左側が動物の頭側になります)。
苦手な方はご注意ください。
毛刈り後、腫れたリンパ節が盛り上がっているのが分かります(赤丸)。
皮膚と皮下の脂肪をを切開すると、リンパ節が確認できます(赤丸)。周囲の筋肉などとくっついているので、損傷しないように丁寧に分離していきます。
リンパ節(赤丸)の下側には大きな血管や神経(赤四角)があり、これから腫瘍に入りこむ血管(青四角)があります。大きな血管や神経を損傷しないように腫瘍に入り込む血管のみを処理します。
リンパ節摘出後の写真です。
摘出したリンパ節
近くのリンパ節も同時に切除しました。
病理診断は扁桃の扁平上皮癌の転移でした。同時に切除した近くのリンパ節には転移はみられませんでした。手術後、痛みは緩和されましたが、肺転移がみられますので、現在転移に対して分子標的治療を行なっていきます。