本日の一症例

包皮のできもの

腫瘍科(ガン)/外科

犬の肥満細胞腫(包皮-陰茎-リンパ節切除、陰嚢尿道造瘻術)

動物
種類 トイ・プードル
性別
年齢 15歳
地域 京都府福知山市
症状/病態 包皮の腫瘤(できもの)
考えられる病気 肉芽腫、肥満細胞腫、形質細胞腫、リンパ腫など

包皮に腫瘤(できもの)があるとのことで来院されました。

腫瘤は、2cm程度の大きさで、境界明瞭でした。
針生検(細い針をさして細胞を採取する検査)で、肥満細胞腫が採取され、包皮の肥満細胞腫と診断しました。

包皮の肥満細胞腫は悪性度が高く、リンパ節転移率も高いため、詳細な把握のため、CT検査を実施しました。
CT検査では鼠径部のリンパ節とお腹の中のリンパ節が腫大していたため、これらに対しても針生検を実施したところ、肥満細胞腫の転移が確認されました。

肥満細胞腫が転移しているリンパ節は切除が必須となり、これを残してしまうと、寿命はかなり短くなります。

今回の場合、包皮・陰茎・鼠径部のリンパ節をまとめて切除する必要があり、その場合、別の場所に尿道を開口させなければなりません。

雄のわんちゃんでは、陰嚢部位に開口させる(陰嚢尿道造瘻術と言います)ことが多いので、肥満細胞腫の切除と同時に陰嚢尿道造瘻術を実施しました。

以下、手術の写真となります。苦手な方はご注意ください。
(写真は、飼い主様のご承諾のもと掲載しております)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


去勢をしていない男でしたので、まずは陰嚢切除と同時に精巣も摘出しました

陰嚢を切除し、筋肉をよけると尿道が確認できます(青矢印)

尿道を切開し、周囲の皮膚と縫合することで尿の通り道を作ります
(この術式を陰嚢尿道造瘻術と言います)

次に包皮・陰茎・鼠径部のリンパ節の切除を行いました
青いマーカの位置で皮膚を切開していきます

また、包皮が接している部位は、筋肉の膜も同時に切除していきます
(赤矢印:筋肉の膜、青矢印:筋肉)

鼠径部まで切開を広げ、リンパ節も同時に切除していきます
(リンパ節は見えませんが、青丸の脂肪の中に含まれています)

尿道を糸で縛り、摘出完了です(青矢印:糸で縛った尿道)

最後にお腹のリンパ節を切除し、縫合して手術終了です。

 

術後の状態はよく、飼い主様のご都合もあり、術後12日目に退院しました。

病理診断は肥満細胞腫で、グレード分類はグレード3、高グレードで悪性度が高く、鼠径部のリンパ節とお腹の中のリンパ節にも転移が認められました。

包皮の肥満細胞腫は、皮膚の肥満細胞腫よりも悪性度や転移率が高く、かなり手強いがんなので、ここまでしないと長期的な生存を目指すことはできません。

今後は抗がん剤や分子標的薬による治療を行い、経過をみていく予定です。

 

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診断名

犬の肥満細胞腫