犬
肺のしこり
腫瘍科(ガン)/外科
犬の肺腫瘍(乳腺癌の転移)(左肺全摘出)

| 動物 | 犬 |
|---|---|
| 種類 | トイプードル |
| 性別 | 避妊雌 |
| 年齢 | 11歳6ヶ月 |
| 地域 | 京都市北区 |
| 症状/病態 | 肺のできもの |
| 考えられる病気 | 肺腺癌、組織球肉腫、転移、肉芽腫、膿瘍など |
レントゲン検査で肺にできものがあるとのことで来院されました。
CT検査の結果、左肺の前葉と後葉に一つずつできものが認められました。
できものが炎症なのか腫瘍なのかを確認するため、以前はできものに針を刺し、細胞を採取していましたが、近年、肺のできものに針を刺すことで播種(腫瘍細胞が胸壁などに散らばること)の危険性が指摘されているため、画像上、手術適応の場合は針を刺さないこともあります。
相談の結果、針を刺さずにそのまま手術を行うこととしました。
今回は、左肺の前葉と後葉にできものができていたため、この2つを切除することとしました。
右の肺には4つ、左の肺には2つの葉が存在し、右の肺の方が左の肺よりも容積が大きいです。
そのため、一般的に、右の肺の4つを全部摘出することはできませんが、左の肺の2つは摘出可能です。
以下、手術時の写真となります。苦手な方はご注意ください。
(写真はご家族のご承諾のもとあげさせていただいております)

肺を切除する際、多くは肋間開胸術(肋骨と肋骨の間の筋肉を切開し、胸の中にアプローチする方法)により胸の中にアプローチしますが、肺のできものがかなり大きい場合、さらに肋骨あるいは肋軟骨接合部を切開し(赤丸)、視野を確保する必要があります

肋軟骨接合部を切開すると、かなり胸の中が見やすくなり、できもの(赤丸)も確認しやすくなります

まずは左肺前葉および左肺後葉の動脈(赤矢印)から処理していきます

肺後葉には肺靭帯(赤矢印)が存在するため、これを切除する必要があります

左肺前葉および左肺後葉の静脈(青矢印)をそれぞれ処理します

最後に気管支(黄色矢印)を処理して摘出完了です

摘出後の写真です

縫合後の写真です
手術は無事終了し、術後3日目に退院しました。
病理検査は乳腺癌の肺転移でした。
このわんちゃんは過去に乳腺腫瘍を摘出しており、その転移が疑われました。
幸い、右の肺には明らかな転移は認められておりませんが、今後転移する可能性があるため、分子標的薬による治療を開始し、経過をみていきます。
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