猫の尿道閉塞

病態
尿道閉塞とは、尿道内に何らかの物質が詰まることにより膀胱に溜まった尿が排泄されない病態をさします。
原因としては結石や炎症産物、腫瘍などさまざまですが、猫では詮子物質や結石が関連していることが多いです。
特に雄猫の尿道は細くて長いため、雌猫と比較すると尿道閉塞を起こしやすいです。
症状
上述したとおり、膀胱に溜まった尿が排泄されないため、排尿姿勢をとるがほとんど出ないといった症状がみられます。
このような症状がみられて数時間は状態の変化はさほどありませんが、1〜2日経過すると、食欲低下、嘔吐などがみられ、そのまま放置すると最終的に死に至ります。
診断
上記の症状がみられ、身体検査で拡張した膀胱が触知され、レントゲン、エコーでも拡張した膀胱が確認されれば、尿道閉塞の可能性が高く、最終的にはカテーテルが膀胱内に挿入できないことで診断されます。
拡張した膀胱(赤丸)
治療
尿道閉塞が生じている場合、エコーを用いて、膀胱内の尿をすべて抜き、陰茎から細いカテーテルを挿入し、尿道閉塞の解除を行います。この解除には苦痛を伴う場合があるので、軽い麻酔が必要になる場合があります。
また、血液検査で異常がみられる場合、同時あるいは先行してその治療も行う必要があります。閉塞が解除され、状態が落ち着いたら、再閉塞を防ぐため、以下の治療を行います。
・食事療法(療法食への変更)
・水分摂取量を増やす(缶詰への変更、循環式給水器の使用など)
・トイレの改善(トイレを1頭につき2つ用意、静かな場所に設置、こまめな掃除など)
・ストレス軽減(高いところに登れる、隠れ場所がある、フェロモン剤の使用など)
・薬物療法
以上の治療を行い、再発防止に努めますが、それでも約10〜20%は再発してしまうため、再発を繰り返す場合は手術で尿道を広げてあげる必要があります。
予後
尿道閉塞は緊急性の高い病気で、尿が出なくなって1〜2日経過すると生命に関わる病気です。
閉塞が解除できて尿が排泄されれば、一旦状態は落ち着きますが、再発しやすい病気ですので、その後の治療が重要です。
それでも再発を繰り返す場合は手術で尿道を広げてあげることで予後は良好です。
当院では尿道閉塞に関して、十分な説明を行い、治療方針を決定しています。愛猫が尿道閉塞を患ってしまい、ご不安な方はご相談ください。