本日の一症例

出血/元気がない、ぐったり/食欲がない/口が臭い、口を触るのを嫌がる/足がふらつく・立てない

歯科(歯の病気)/猫科(猫の病気)

猫の貧血(歯肉炎)

動物
種類 MIX
性別 避妊雌
年齢 11歳
地域 滋賀県大津市
症状/病態 貧血による虚脱
考えられる病気 出血、赤血球の破壊(溶血)、赤血球産生低下、赤血球分布異常

他院にて1週間ほど前に貧血を指摘され、徐々に元気がなくなりぐったりしているとのことで来院されました。

症例の猫ちゃんは意識が朦朧とした危険な状態で、すぐに各種検査を行いました。

 

身体検査にて中程度の歯肉炎が認められましたが、その時点での出血は認められませんでした。

 

血液検査にて重度の貧血(ヘマトクリット値:10%)と網状赤血球数の増加が認められました。

一般的に急性経過でヘマトクリット値が20%を下回ると重度貧血であり、輸血が必要となります。

網状赤血球とは若い赤血球のことで、体が貧血に反応して急速に赤血球を作っていることを示しており、出血や溶血が原因となる再生性貧血が疑われました。

感染や免疫異常を原因とする溶血性貧血は検査会社での特殊な検査で後日否定されました。

 

レントゲン検査やエコー検査にて特筆した異常は認められませんでした。

 

同居の猫ちゃんにドナーとして協力していただき、急ぎ輸血処置を行った結果、ヘマトクリット値は22%まで改善し意識状態の改善が認められました。

 

しかし数日後、再び貧血の進行が認められ原因究明と治療を急ぐ必要があったため、麻酔下にて出血点の精査のためのCT検査と内視鏡検査、歯肉炎に対して歯科処置(抜歯)を行いました。

 

CT検査にて歯肉炎に伴った破歯吸収病巣(歯が溶けた状態)が疑われましたが、それ以外の出血の原因となる病変は認められませんでした。

 

内視鏡検査にて消化管内の出血は認められませんでした(写真は胃内)。

 

口腔内では歯石を除去した領域で破歯吸収病巣が認められ、抜歯と縫合を実施しました。

写真は上顎ですが下顎の病変も同様に処置しています。

処置前

 

処置後

 

貧血のため多少の麻酔リスクはありましたが、問題なく覚醒し当日帰宅されました。

数日後の血液検査にて貧血の進行は認められず、一般状態の改善が認められたため治療終了としました。

歯肉炎からの出血で危ない状態でしたが、ドナーの猫ちゃんの協力で無事回復できた猫ちゃんの症例でした。

 

また、当院では献血ドナー募集のためのASHプロジェクトも実施しているので興味のある方はぜひこちらもご覧ください。

ASHプロジェクト

献血ドナー制度『ASHプロジェクト~Animal Super Hero~』

診断名

猫の歯肉口内炎