本日の一症例

自己免疫疾患(免疫介在性疾患)

免疫介在性血小板減少症

動物
種類 トイプードル
性別 去勢雄
年齢 5歳
地域 京都市北区
症状/病態 紫斑
考えられる病気 血小板減少症、外傷、凝固不全、DIC

お腹に内出血が見られるとのことで来院されました。

実際のお腹の写真がこちらです。

 

このような内出血は紫斑と呼ばれます。

紫斑は外傷の時だけではなく、血液の凝固システムに異常をきたし出血しやすい状態になっている時にも見られます。

このわんちゃんは特に熱もなく一般状態は良好でしたが、凝固異常を引き起こす大きな疾患が隠れている可能性を考えて精密検査をしました。

 

血液検査の結果、血液を固める役割をもつ血小板という血球が非常に少なくなっていることがわかりました。

レントゲン・エコー検査・その他の血液検査の結果、血小板が減少する原因となる腫瘍や感染症は確認されなかったため、免疫介在性血小板減少症を疑い、ステロイドによる治療を開始しました。

 

ステロイド処方から1週間後以降、順調に血小板数の改善が見られ、紫斑の症状もなくなりました。

その後徐々にステロイドを減薬し、現在は他の種類の免疫抑制剤に変更して良好な経過を辿っています。

 

紫斑は大きな病気が隠れているサインかもしれません。皮膚だけでなく、内臓で出血してくると急激に具合が悪くなることもあります。

ただの内出血と思って放置せず、病院にいきましょう。

 

診断名

免疫介在性血小板減少症